鳥たちよ、自由に羽ばたいてゆけ

私たちもいつか羽ばたけると信じて

鶍の嘴⿴⿻⿸⑴

ーーお聴きいただいたのは、shihoさんで「解放」。そしてそして、スタジオにはshihoさんが来て下さっていま〜す!よろしくお願いします! 「初めまして、shihoです。よろしくお願いします。」 ーーこの曲は、オリコン8位にランクインされているそうで・・・沢山の…

灰色達夜鷹◆第三羽

旧作のDVDは、残り一枚になっていた。 どうしようかな。もう夜も遅いし、休みだからと言って昼夜逆転の生活も良くない。そろそろ寝た方が良いのは分かっているけれど、最後に残っているのはあの子と観た映画。あの頃の甘酸っぱい感情は鮮明に思い出されるの…

灰色達夜鷹◆第二羽

遮光カーテンで覆われた薄暗い部屋へ帰り着いた。 靴を脱ぎ、取り敢えず玄関先に置かれたアルコール消毒を左手に振り掛け、両手の爪先まで馴染ませる。そして、靴や被っていたキャップの帽子など、たまにしか洗わない物には除菌スプレーを軽く振り掛ける。 …

灰色達夜鷹◆第一羽

西日が瞳を突き刺す。 遮光カーテンを力なく閉め、電気もつけずソファに腰掛けた。 テレビのチャンネルだけがグルグル回る。 今、何周目だろう。 目に留まる番組は一つも無い。 退屈だ・・・。 テレビの電源を切る。 ブランケットを首から足まで巻いて芋虫と化…

アメノオト

薄暗くなる空の下で 早歩きになる人達を眺めてた こちらを見上げては あからさまに嫌な顔をしてくる 背広を着た後ろ姿 数え切れない中の一つでしかない そんな僕達は 皆、似たような顔をしているんだって 誰かが鼻で笑った 見分けなんてつけられやしないね …

姫黒海燕の彼女

真夜中の田舎道。 街灯は殆ど立っていない。スマホのライトだけを頼りに、行く宛ても無く歩いている。過疎化しているこの集落にコンビニは無い。それに似せたような店はあっても、村の人間が個人で経営している完全にローカルな店。こんな時間には疾うに閉ま…

青翡翠は羽ばたく

「貴女は見た目で得をする。」 私が今まで男達から言われてきた言葉です。 クールで、賢くて、ミステリアスで、素敵です、なんて。定型文のような台詞ばかりで笑っちゃうわ。 そうやって勝手に私という人間を創り上げるのよ。 期待させてしまったなら申し訳な…

出口の見えないトンネルの中で

幼馴染みが鬱になった。 僕達は別々の高校に進学していた。当初、病気になった時期や詳細は分からなかった。久し振りに会う彼は兎に角変わり果てていて、会話をする事さえ出来なかった。彼のお母さん曰く、どうやら彼が虐められっ子を庇った後に、虐めの矛先…

からっぽ

私は、私の人生、何処から間違えてしまったのだろう。このまま老いて、死にゆくのをただ待っているしかないのだろうか。少女の頃は、漫画に出てくるヒロインのように、運命の人と出逢い、恋をして、結ばれる。そんな、誰もが憧れるハッピーエンドを望んでい…

私の中の兄妹

物心ついた時から、違和感。 感情や考え方に統一性が無い。今現在の自分が好んでいるものなのに、明日には無関心になっていることも屡々だった。そのものを嫌いになる訳では無い。ただ、興味が無くなるのだ。そんな私を、周りは「飽きっぽい」と一言で片付けた…

スズメノナミダ

《公園の片隅で、少女が泣いている。しゃがみこみ、肩を震わせながら、ただ、静かに。 硝子玉の様に脆く、今にも割れてしまいそう。私は何故か胸が締め付けられる思いだった。 何でもいい。声を掛けよう。このまま放ってはおけない。勇気を出して、小さな右…

swallow's story

それは、私が鍵をかけた二人の物語。 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 高校卒業後、私は社会人になった。就職先は、高校1年生の頃からアルバイトで働いていた飲食店。 私達はそこで出逢った。 彼は、私の働く店と同じ道路沿いにある中小企業…