鳥たちよ、自由に羽ばたいてゆけ

私たちもいつか羽ばたけると信じて

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

海鴉が鳴いている⑹

ほとぼりが冷めた頃、携帯電話は私の手元に戻ってきたけれど、電話帳の“あ”行や着信・発信履歴を何度確認しても彼女の名前は何処にも無かった。更には、メールの履歴までも。 彼女の存在は微かに残ることも無く、大人の力によって完全に消し去られてしまった…

海鴉が鳴いている⑸

最後まで大人の要求を聞き入れなかった私達は、2週間程の停学処分になった。 どれだけ子供が大人に声を上げたって、結局は届かない。所詮私達は無力なのだと思い知らされただけだった。 親からは携帯電話まで没収され、彼女と一切連絡が取れなくなった。停…

海鴉が鳴いている⑷

私達は晴れて恋人同士となった。 と言っても、“恋人”という肩書きなど、私にとって大して重要では無い。彼女と心が通じ合えたということだけで十分幸せだった。 学校ではいつも通り仲の良い友人として過ごした。今までと違うところは、それに加えて休日も頻…

海鴉が鳴いている⑶

私達はいつも2人で居るようになった。 彼女は、見かけによらずよく笑う人だ。中身は明るくて可愛い普通の女の子で、今まで出逢ってきたどんな子より純粋だった。当初抱いていた偏見を恥じる程に。 クラスメイトは私達の空気の中に入れないのか、それとも敢…

海鴉が鳴いている⑵

何とか腹痛を耐え抜き、式が終わった。 それぞれ振り分けられたクラスへと向かう。極度の人見知りの私が初日から見知らぬ人に話し掛けられる筈も無いので、ただただ俯きながら廊下を歩いた。 教室に入ると、黒いお下げ髪の群れ。 周りは早くもグループが出来…

海鴉が鳴いている⑴

「そこを左に曲がって・・・郵便局が見えたら右ね。」 「郵便局なら逆方向だけど。」 「・・・嘘。」 「あんたって本当方向音痴だよね。当てにならんわ。」 そこまで言わなくたっていいじゃない・・・。 彼女はいつも私を小馬鹿にしながら、ハッキリとした物言いをする。本人…

コヨシキリ

今、あなたが何処に居て 何をしているのか 私は知らない そして、それを知りたくても 私があなたを探すことは きっとこの先も無いでしょう もし、それをしたとして 本当はもうこの世界には居なくて あなたを見つけることが 永遠に出来なくなるかもしれない …

鶍の嘴⿴⿻⿸⑵

私は、彼より2時間程早く起床する。適当に顔を洗い、彼が毎朝飲む珈琲や、お昼に食べれるかどうかも分からないお弁当を用意する。彼を起こす時間にセットされた携帯のアラームが鳴ったら、寝室へ向かう。彼は朝が弱いので、何度起こしてもなかなか目を覚ま…

鶍の嘴⿴⿻⿸⑴

ーーお聴きいただいたのは、shihoさんで「解放」。そしてそして、スタジオにはshihoさんが来て下さっていま〜す!よろしくお願いします! 「初めまして、shihoです。よろしくお願いします。」 ーーこの曲は、オリコン8位にランクインされているそうで・・・沢山の…